屋久島だより vol.13 昆虫の進化が教える取捨選択の妙と教育の可能性
竹本大輔
「昆虫ってなんで海にはいないの?」
海にいるエビやカニなどの甲殻類は、海中のカルシウムを摂取し外殻を硬化しています。それに比べ、昆虫は「マルチ銅オキシダーゼ2」という酵素を使って空気中の酸素からカルシウムを形成し、外骨格を硬質化していることがここ最近(2023年)判明しました。このように昆虫が獲得した「酸素を必要とする外骨格形成のメカニズム」が、海への再進出を困難にしている、と言えます。
昆虫が地球上に登場して4億8,000万年。地球上の全生物が170万種、その中で昆虫は100万種。全生物の60%、動物種では約70%が昆虫とも言われています。ここまで進化し繁栄した理由の一つは「地球の大部分である海という環境で生きていく機能を完全に捨て去った」と言えるかもしれません。
私は仕事の関係上、屋久島の小学校への出張授業、鹿児島大学の授業、屋久島おおぞら高校スタッフへの研修など、授業や研修を依頼いただくことがあります。先の質問は小学生から出た質問です。ここに書いた回答は「事業戦略とは取捨選択、とくに何を捨て去るかが大事」という大人向け、もっと言うなれば企業研修向けのような回答です。ただ子どもたちにはできるだけ自然への興味や生命の素晴らしさを感じてもらえるように、平易な言葉で伝えたつもりではありますが、やはりそこが難しい。こちらが勉強になりました。
センバス教育とは、まさに直観力を提供しどの年代とも共感力を育むものです。屋久島の自然や最新の研究成果といったものから、子どもたちが身近に感じる疑問からの探究心というものを大切にしながら、センバス教育のさらなる進化、普及が進めばなぁと思います。
