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屋久島だより vol.14 コロナ禍で再認識した屋久島の強み: 食、兼業、自然との共生

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竹本大輔

 

 もうずいぶん前のコロナ禍のときの話です。
 屋久島への来島者が、2019年5月約40,000人から、2020年5月のコロナ禍真っ只中において約300人と前年にくらべ92.5%激減。観光の島である屋久島にとってこの激減は大きな打撃ですが、意外と島民にあまり暗さはありませんでした。
 
 その理由として第1に「食が豊かである」という理由が考えられます。根本的な「食べるものがあって飢えない」という強みです。そこらへんに生えている野草はもちろん、大潮の日には磯の貝類を採って食べる、といったことが日常的です。
 
 また第2の理由として、ほとんどの人が本業に加え第一次産業を兼業していることが挙げられます。旅館経営者が農業をやっているというのは当たり前。ガイド業者ももともと季節収入格差が大きく、漁業、農業、林業などと兼業しています。この片方の収入がなくなろうとも、もう片方で収入を得られる、というのが強みになっています。
 
 第3の理由として集落ごとの互助作用、セーフティネットが働いている、ということを感じます。作りすぎたおかずを分けあったり、収穫できた野菜を交換したり、といった昔ならではの互助作用が未だに存在しています。
 
 ・食が豊か、飢えない豊かさがある
 ・日常的な第一次産業との兼業
 ・集落ごとの互助作用、セーフティネットの存在
 この3点がコロナ禍にあって屋久島が強い理由であると考えます。屋久島だけでなく日本の地方や島嶼地域の「withコロナ時代」の強みかもしれません。
 
 これに加え、屋久島島民ならではの「自然への造詣の深さ」も非常に強く感じます。例えばツマベニチョウはどの花に吸蜜に来ているのか、食草はなんなのか、など本土では昆虫好きの少年少女くらいしか興味のないことについて、島民はよく知っています。蝶だけでなく、例えば野草を見たらこれは食べられる、これは毒、例えば貝類にしてもこれは美味しい、これはピリッと刺激があるけど毒じゃない、例えば木を見たらこれは昔は●●に使っていた、などです。 
 上記3点の理由に加え「自然への造詣の深さ」これもこのコロナ禍にあってしぶとく生き抜くための知恵のひとつと言えます。
 
 観光産業は、コロナ禍だけでなく、地震や台風襲来など自然災害によって浮き沈みがあることもまた事実です。ただコロナ禍や地震、台風といったものを経験しているからこその屋久島ならではの強み、田舎ならではの、離島ならではの強みがあります。これまでのいわゆる「分かりやすい屋久島の魅力」というものに加えて、ここに述べた、コロナ禍に象徴されるような「不確かな時代だからこその強み」といったものも、改めてお伝えしていきたいと思います。