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屋久島だより vol.12 台風10号が映し出した屋久島の自然と共生の力

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竹本大輔

 

屋久島はその位置からして台風常襲地域であることは言うまでもありません。そして今年(2026年)の屋久島はとても台風が多い。ただ過去にはさらに甚大な被害をもたらした台風もあります。
 
とくに2024年8月末の台風10号は、屋久島に非常に大きな爪痕を残しました。樹齢3000年とも言われる「弥生杉」を幹の真ん中からねじり切り、白谷雲水峡線や西部林道には大規模な土砂崩れを引き起こしました。人々が住まう里でも、48時間以上の停電、車庫や倉庫の倒壊などの被害が多数ありました。
 
 ただ屋久島の人々はこう言います。
 
「今年は異常な暑さだったから空気がやっと入れ替わったね」「この夏大きな問題になりつつあったサンゴの白色化も一段落しそう」「森の弱った木が倒れ、光が差し込むようになった」と。
 
 とくに目立ったのが、森の木々が更新され、光が差し込んだことです。
 強烈な風と大雨による地盤のゆるみで、とくに浅根性の樹種が根っこごと倒された光景が印象的でした。浅根性の植物は根を浅く張るため成長が早く、森の中でも真っ先に成長してくる植物です。逆に深根性の植物は成長が遅い。普段の何気ない気象条件だと、深根性の植物は生きていくのに不利なように思っていましたが、こういった台風のときには強い。植物のそれぞれの生存戦略の違いがもたらした、森林の新陳代謝ともいうべきものを見せつけられたかのようでした。
 

 これは植物に限ったことではありません。生けとし生けるもの、ひいては私たちの事業や組織にも言えることかもしれません。組織運営や事業経営は決して穏やかで、順風のときばかりではありません。台風に備え、台風の強烈な風をも利用した戦略、強かさも必要なことなのだと、思い知らされました。
 

 都市にいては感じ得ないこの感覚。日本人のみならず世界の人々から憧れ続けられる、美しく雄大な自然。しかし一方で人間の営みなどもちろん、自然の営みですら一発で破壊する台風をはじめとする自然の災害。この厄災ともいうべきものともうまく折り合いをつけることで暮らしてきた屋久島の人々。改めて屋久島の自然そのものや、人と自然の関わりから学ぶことがたくさんあるように思うのです。