屋久島だより vol.11 「不自由」を楽しむ:屋久島での工夫と自己成長
竹本大輔
屋久島を「水の島」たらしめるのは、梅雨時期の雨量に他なりません。
東京や名古屋に降る半年分の雨が、6月の1か月間に屋久島には降ります。じっさいに屋久島の梅雨は「1週間ずっと雨」「晴れ間をまったく見ていない」ということが多い。飛行機が視界不良で飛ばず、予定通りの行き来がままなりません。今年は特に雨の多い梅雨となっています。
そして台風。うねりと波高でフェリーや高速船が止まり、島内の物資が欠乏します。パン牛乳肉豆腐…1週間ほどスーパーで見ていないなぁ、ということも。もちろん島外との移動経路はすべて断たれます。停電や断水は当たり前。人は耐えて忍ぶしかないのです。
自由に移動ができない。欲しい物が買えない。電気や水が自由に使えない。そして普段からケータイの電波が微弱…。現代日本にあって、この圧倒的不自由。この圧倒的不自由を体験することこそ、屋久島ならではの体験とも言えます。
不自由であるということは「身の回りのことはなんとか自分でする」「工夫してなんとかする」ということと同義です。鹿を獲り魚を釣り貝を採り山野草を採る。肉や魚を自分で捌く。パンやピザを自分で焼く。調味料を自分で調合する。家の雨漏りなどのちょっとした大工仕事は自分でやる。風向きとその強さを読み、船か飛行機か可能性の高い方を選択する。スマホに頼らず自分の経験と勘で行動する。
この圧倒的不自由体験を楽しむこと。圧倒的不自由であることを前向きに捉えること。全員が楽しめるとは思いませんが、利便性を追求し尽くした感のある現代社会において、この「なんとかしてやる」という前向きな気持ち、なにごとも工夫して行動するということは、とても貴重な体験です。圧倒的不自由体験だからこそ得られるなにかを、ここ屋久島でリアルに体験する。これも屋久島の面白さなのかもしれません。
