屋久島だより vol.10 変化をチャンスに:屋久島の固有種と未来へのヒント
竹本大輔
屋久島には動物昆虫植物を問わず「固有種」といわれる種が、数多く息づいています。昆虫においては、約30種もが「ヤクシマ◯◯」と名づけられているのです。
これはなぜか。1つは、1,936mにも及ぶ標高に起因する気候帯の多様性、黒潮の影響による雨量と風、これらが影響しあい「植生が垂直に分布」しているからだと言えます。0〜100mマングローブや海浜硬葉植物群落、0〜200mの亜熱帯常緑広葉樹林帯、100〜800m暖帯常緑広葉樹林帯、600〜1800m針広混交林帯、1700〜1936m岩隙植物群落という日本列島の植物が垂直に分布していることが、生物相の多様性を育む要因となっています。
2つ目は、屋久島の島そのものの成り立ちに起因します。6000万年前に大陸の周辺で形成された屋久島は、1500万年前に九州島の一部として大陸から切り離され、花崗岩が貫入し山岳地帯を作りました。そして130万年前に九州本島から切り離され孤島となります。さらに最後の氷河期である2万5000年前から1万6500年前には再び九州と繋がりました。そして1万6000年前にふたたび孤島に。7300年前には鬼界カルデラ火山が大噴火を起こし火山灰の堆積と崩落を繰り返し、2700年前に現屋久島の地形になります。
このような大陸や本島と離れたりくっついたりを繰り返すことによって、侵入し取り残された種が独自に進化を遂げたのです。
生まれ育った土地が離れたりくっついたりするという大きな環境の変化。同じ島での気候帯の大きな違い。そして風雨の強さ。生物にとっては過酷な環境に他なりません。しかしながらこの過酷な環境こそが生物たちにとっては「その環境で生きるしかない」と覚悟を決めさせ、独自に進化する道を選択させたのです。その進化の結果を「固有種」とわたしたちが分類しているに過ぎないのです。
私たちもコロナ禍はいうに及ばず、自然災害の厄災や戦争といまなお大きな環境の変化の真っ只中にいたり、目の当たりにしています。これらを糧にしチャンスと捉え進化していけるのか。屋久島の固有種と生物相の多様性に思いを馳せ、変化の大きいこの世の中をどう生き抜いていくのかを考えていきたいと思います。
